- 屋根材選びで失敗したくない
- 新築の屋根を計画する際に知っておいた方がよいことってあるの?
- 実際に家を建てた人の感想を知りたい
新築建築時、屋根については見落としがちですが、屋根材や屋根の形状をどのように計画するかは、見た目のデザイン性だけでなく、住み心地にも大きく影響する重要な要素です。
この記事では、新築建築時によくある屋根に関する後悔や失敗を5つご紹介し、それぞれの問題を避けるための対策もお伝えします。
他の人の後悔や失敗を避けることで、満足度の高い屋根選びができるので、ぜひ参考にしてみてください。
片流れ屋根のデメリットを知らずに採用してしまった
片流れ屋根とは、屋根の勾配が一方向だけについた屋根の形状のことです。シンプルな構造で、モダンな家とデザインがマッチすることから、採用する住宅も多くなってきています。
片流れ屋根は、そのシンプルな形状から施工が比較的簡単で、コストが抑えられる点が大きなメリットです。また、1枚の屋根の面積を大きくとることができるため、太陽光発電との相性が良く、屋根のスペースを最大限に活用することができます。
しかし、片流れ屋根にはメリットだけでなく、デメリットもあるため、注意が必要です。
片流れ屋根デメリット①雨漏りのリスクが高まる
片流れ屋根の場合、勾配が一方向にしかないため、屋根の頂上付近に落ちてくる雨水が屋根をつたい、外壁側に垂れてしまいます。そのため、他の形状の屋根と比べ雨漏りのリスクが高まると言われています。
片流れ屋根デメリット②屋根や外壁の経年劣化が早まる
片流れ屋根では、屋根に落ちた雨水を全て片側に流していくため、屋根材や雨どいの劣化や破損頻度が高まってしまいます。外壁についても、一方向にしか軒がないため、紫外線や雨風の影響を受けやすくなってしまいます。
片流れ屋根デメリット③風の影響を受けやすくなる
片流れ屋根は勾配が一方向にしかなく、一方向あたりの面積が広いため、風の影響を受けやすくなってしまいます。風の影響を受けやすくなると、台風や強風時に屋根材が傷んでしまうリスクが高まります。
これら3つのデメリットを考慮せずに片流れ屋根を選んでしまうと、後々のメンテナンス費用で後悔する可能性があります。
片流れ屋根で失敗しないための対策方法
片流れ屋根を採用する際には、以下の対策を講じることでデメリットを最小限に抑えることができます。
対策方法
- 防水対策の徹底
- 最適な外壁材の選定
- 雨どいのサイズの変更
- 定期的なメンテナンス
対策方法①防水対策の徹底
まずは、防水対策を徹底することが重要です。
特に、屋根の端や接合部には十分な防水処理を施しましょう。具体的にはコーキングと呼ばれるゴムのような素材で隙間をうめる作業になるため、施工を行う業者に防水処理の徹底をお願いするようにしましょう。
対策方法②最適な外壁材の選定
外壁材については、紫外線などに強い外壁を選定するのがオススメです。
屋根材や外壁材などの販売大手メーカーであるケイミュー株式会社が販売している「光セラ」シリーズは紫外線や雨風を利用し、外壁に付着した汚れを洗い流してくれる機能的な外壁なので、片流れ屋根との相性が良くオススメです。
対策方法③雨どいのサイズの変更
見落としがちなのが「雨どいのサイズ」です。
雨どいのサイズが小さいと、うまく排水できずに溢れた雨水が軒天や外壁材を傷めてしまう原因となってしまいます。
適切なサイズを選ぶためには、屋根への降水量や採用予定の雨どいの排水量を計算する必要があります。計算方法はかなり複雑になるため、施工する建築会社やハウスメーカーなどにきちんと計算を行った上で選定しているか確認するようにしましょう。
【参考】雨樋排水計算シミュレーション(出典:セキスイ公式HP)
対策方法④定期的なメンテナンス
片流れ屋根に限定したことではありませんが、家を長く健全な状態でキープしたいなら、定期的なメンテナンスは重要です。屋根材の劣化や損傷などを早期に発見・修繕することで、1回あたりの修繕費を抑えることができます。
屋根のメンテナンスとしては、特に雨どいに注意が必要です。雨どいは枯れ葉などで詰まりやすく、放置していると軒天や雨どいを破損させる原因となってしまいます。
わが家の3年程放置していた雨どいには葉っぱなどが詰まってしまっていました。
定期的に雨どいを掃除したり、屋根材のメンテナンスを行うことで、長期的に安心して健全な状態を維持することができます。
屋根のデザインが外観と合わない
屋根の形や屋根材の選定を間違えてしまうと、外観がアンバランスになってしまい、建築後の後悔につながってしまう可能性があります。
屋根のデザインと建物の外観が調和しない原因としては、全体のデザインコンセプトが統一されていないことが挙げられます。
よくある失敗・後悔パーターン
- 外観と屋根のデザインの不調和
- 外観と屋根材の種類や色の不調和
失敗・後悔パターン①外観と屋根のデザインの不調和
外観と屋根のデザインのコンセプトが統一されていない家はアンバランスな印象を与えてしまいます。
例えば、上記写真のように外観が南欧風なデザインであるにも関わらず、屋根がシャープな印象の片流れ屋根を採用してしまうと、若干アンバランスな印象になります。
失敗・後悔パターン②外観と屋根材の種類や色の不調和
外観と屋根材の種類や色のコンセプトが統一されていない家についても、アンバランスな印象を与えてしまいます。
上記写真のように、外観が南欧風なデザインであるにも関わらず、屋根がシャープな印象の黒い金属製の屋根を採用してしまうと、全体的なバランスが崩れる原因となってしまいます。
屋根のデザインで失敗・後悔しないための対策方法
デザインコンセプトを明確にする
屋根のデザインと外観が調和するためには、設計段階で全体のデザインコンセプトを明確にすることが重要です。建物全体のスタイルに合わせて、屋根材の種類や色を慎重に選びましょう。
3Dシミュレーションやサンプル請求を活用する
3Dシミュレーションを活用することで、完成後のイメージを事前に確認し、調和の取れたデザインを目指すことができます。最近では、ハウスメーカーや工務店で3Dシミュレーションを行ってくれるところが増えてきました。
しかし、その場でシミュレーションをしてくれるというよりは、外壁や屋根材を選定したものを伝えると後日、写真で提示してくれるというところが多いため、まずは自分で3Dシミュレーションを行いイメージを固めるのがオススメです。
オススメの3Dシミュレーション↓↓
シュミレーションした外壁材や屋根材はサンプルを取り寄せることが可能なので、実物を見て確認することも効果的です。
ガルバニウム鋼板の屋根にしたら、雨音がうるさかった
ガルバニウム鋼板とは、アルミニウムと亜鉛の合金でコーティングされた鋼板のことです。
この屋根材は、「耐久性が高い」「錆びにくい」「軽量である」という優れた特性を持っているため、近年建築される住宅では、多く利用されています。
しかし、ガルバニウム鋼板の屋根材は雨音が響きやすいという、デメリット面もあるため、知らずに採用してしまうと後悔につながる可能性があります。
わが家の屋根にもガルバニウム鋼板の屋根を採用しましたが、豪雨時の雨音が寝室に響いてきます。
屋根への雨音が気になる場合は、以下の対策を講じることで問題を軽減することができます。
- 天井や壁に防音材を追加する
- 寝室の窓の配置やサイズを見直す
- ガルバニウム鋼板以外の防音性に優れた屋根材を検討する
雨音対策①天井や壁に防音材を追加する
防音対策としては天井や壁に防音材を追加するのが最も効果的です。例えば、天井部分に防音シートを貼ったり、壁面に防音効果のある壁面材を使用することで、雨音が室内に伝わるのを防ぐことができます。
防音材の施工には追加費用が発生するため、建築会社やハウスメーカーに見積りを依頼したうえで、検討するようにしましょう。
雨音対策②寝室の窓の配置やサイズを見直す
間取りがまだ決まっていない場合は、寝室の窓の配置やサイズを見直すのも効果的です。窓は壁部分と比べると薄く、また開閉のためにある小さな隙間があるため、外からの音が室内に入り込みやすくなります。
窓のサイズを小さくしたり、屋根の位置を考慮して、窓の配置を計画することで、雨音の侵入を軽減することができます。
雨音対策③ガルバニウム鋼板以外の屋根材を検討する
ガルバニウム鋼板へのこだわりがない場合は、ガルバニウム鋼板以外の防音性に優れた屋根材を検討することも一つの手段です。
例えば、陶器瓦やスレートなどの素材は、ガルバニウム鋼板よりも静音性に優れているため、雨音の侵入を軽減することができます。
軒を長くしておけばよかった
軒とは、屋根の端が外壁から張り出している部分を指し、建物を雨や日差しから守る役割を持っています。
軒の長さは建物の外観だけでなく、生活のしやすさにも大きく影響するため、きちんと検討したうえで、軒の長さを決めることが重要です。デザイン面だけを重視し、軒を短くしたり、なくしてしまうと後悔につながる可能性があります。
わが家も短すぎる軒に後悔しています。
軒が短くて起こるトラブル例
- 雨の時に濡れてしまう
- 室内の温度が上がりやすい
- 外壁材や窓の経年劣化を早めてしまう
トラブル例①雨の時に濡れてしまう
軒が短かったり、軒の全くない家では雨の時に軒下に入り込むことができません。そのため、体や荷物などが濡れてしまう原因となります。
車からの乗り降りや、外の倉庫へのゴミ出しの時など、ちょっとした時にも毎回傘をささないといけないので、わずらわしさを感じてしまいます。
トラブル例②室内の温度が上がりやすい
軒の長さが十分でないと、窓を通して日差しが室内に入り込みやすくなります。室内に入り込む日差しの量が多すぎると、室温が上がりやすくなるため、夏の蒸し暑い室内に後悔してしまう可能性があります。
特にリビングの南側の窓については、軒が短すぎると夏暑くなる原因となり、逆に長すぎると室内が暗くなる原因にもなってしまうため、適切な長さで計画することが重要です。
トラブル例③外壁材や窓のサッシの経年劣化を早めてしまう
軒の長さが短いと日光や雨風などの影響を受けやすくなるため、外壁材や窓のサッシ部分の経年劣化を早めてしまう原因となります。
一般住宅でよく利用される窯業系のサイディングの場合、サイディングの隙間を埋めているシーリング材と呼ばれるゴムのような素材が劣化しやすいとされています。(耐用年数の目安:約10年)
シーリング材の打ち替えには30~50万円ほど費用がかかるため、少しでも経年劣化を遅らせるためにも軒の長さは重要となります。
太陽光発電のことを考慮しておけばよかった
太陽光発電を設置するには、屋根の形状や方位、勾配が発電量に大きな影響を与えます。
屋根の条件が太陽光発電に不向きだと、設備投資した金額を回収できなくなる可能性があります。
太陽光発電の設置を希望する場合は、間取りの設計段階から建築士やハウスメーカーの担当者などにその意向を伝えておくことが重要です。
太陽光発電を考慮した屋根設計のポイント
最も効率よく発電できるのは、南向きで適度な勾配(約30度)がある面積の広い屋根です。このような屋根は、太陽光を最大限に受けることができ、発電効率が高まります。
また、影になる障害物が少ないことも重要です。周囲の建物や木々が影を落とさない位置にパネルを設置することで、効率的な発電が可能になります。
まとめ:みんなの後悔を活かして、理想的な新築を手に入れよう
屋根の選択は、デザインだけでなく機能性やメンテナンス性も考慮し、長期的な視点で決定することが大切です。
各屋根の形状の特徴や、デザイン性、雨音の問題、軒の長さ、太陽光発電の考慮など、各ポイントをしっかりと押さえ、間取りの計画段階から十分に準備することで、快適で安心な住まいを実現することができます。
後悔のない新築を計画するには、既に新築を建てた人の後悔ポイントを自分の家づくりに活かすのがオススメです。
「みんなの後悔」を家づくりに活かして、理想の家づくりに役立ててみてください。
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