- 地盤調査や地盤改良工事はなぜ必要?
- 地盤改良工事はいくらぐらい必要?
- 新築建築時の地盤調査や地盤改良工事で後悔したくない
新築の着工前に行われる「地盤調査と地盤改良」
「なんだか専門的でよく分からない」という方も多いのではないでしょうか。
この記事では、地盤調査・地盤改良の必要性と必要な費用、後悔しないための対策について解説していきます。
地盤調査や地盤改良について正しく理解し、適切な調査方法と改良工法で行うことで、大幅にコストを削減できる可能性もありますので、是非参考にしてみてください。
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地盤調査の調査方法と必要性
一般的な地盤調査方法
現在、戸建住宅の地盤調査方法として最も普及しているのが、「スクリューウエイト貫入試験」と呼ばれる調査方法です。
この試験では地盤に鉄の棒を差し込み、その沈み方から地盤の硬さなどを調査します。
敷地の4隅と中央の5カ所を調査することが一般的であり、調査期間は半日程度です。
他の調査方法としては、ボーリング調査や表面波探査法などがありますが、調査にかかる費用が高くなってしまいます。
地盤調査の必要性
地盤調査には、その家にこれから住んでいく「施主」また、家づくりを行う「事業者」という2つの立場からみた必要性があります。
【施主の立場】地盤調査は安心・安全に暮らすために必要
住宅がどんなに丈夫でも、家の基礎となる地盤が軟弱では安心して暮らしていけません。
地盤が軟弱な土地にそのまま住宅を建ててしまうと、地震などによる地盤沈下や、家の傾き、倒壊など後から取り返しがつかない状況になってしまうことも。
家を建てる前に調査してもらうことで、安心して住むことができます。
【事業者の立場】地盤調査は住宅瑕疵担保責任保険加入のために必要となる場合がある
事業者は法律により、住宅の引き渡し後10年以内に瑕疵(かし)が判明した場合は、無償で補修をしなくてはならないという責任が課せられています。
しかし、いくら義務付けられていても、事業者にその資金がなければ、その責任を果たすことができません。
特に田舎の工務店のようなところでは、資金力に乏しいところも多いです。
このような問題を解決するために2009年に「住宅瑕疵担保履行法」が施行され、事業者は新築の引き渡しに対し、資力確保の措置を行うことが義務化されました。
事業者としては、2つの方法のどちらかにより、対応する必要があります。
①法務局へ保険金の供託(提出し、管理を委ねる)を行う
②住宅瑕疵担保責任保険へ加入する
①の法務局への保険金の供託に関しては、金額も大きく担保期間中は保証金を取り戻すことができないため、②の中小企業の工務店では住宅瑕疵担保責任保険へ加入する場合が多いです。
この住宅瑕疵担保責任保険に事業者が加入する要件の1つとして
「保険法人が定める設計施工基準を満たした住宅であること」
という要件があります。
この保険法人が定める設計施工基準の中で地盤の安全性を確認するため、地盤調査報告書または、これに代わる書類の提出が必要となっています。
つまり、事業者側の立場として地盤調査は住宅瑕疵担保責任保険加入のために必要となるわけです。
地盤改良工事の種類と費用
一般的な地盤改良の種類
地盤改良とは地盤調査結果に基づき、地盤の強度が弱いと判断された場合に安定性を保つために人工的な改良を加える工事です。
表層改良工法
表層改良工法とはセメント系固化材を土と混ぜたものと元の土を入れ替えることで地表近く(適用は地表から2m)を固め、地盤の強度を高める工法です。
軟弱な地盤が比較的表層の場合に採用可能です。
柱状改良工法
柱状改良工法とは地盤内に柱状の穴を掘り、そこにセメントを流し込むことで、複数の柱を作って強度を高める工法です。
地表から2m以上8m以下で強度を出せない場合に最も選ばれる工法です。
鋼管杭工法
鋼管杭工法とは地盤内に鋼管の杭を打ち込んで、強度を高める工法です。
軟弱な地盤が比較的深い場合に採用され、深度30メートルほどまで施工可能です。
地盤改良に必要な費用
地盤改良工事に必要な費用の目安は以下のとおりです。
工事の種類 | 総額 | 坪単価 |
---|---|---|
表層改良 工事 | 30~50万円 程度 | 坪1~2万円 程度 |
柱状改良 工事 | 50~80万円 程度 | 坪2~3万円 程度 |
鋼管杭 工法 | 100~180万円 程度 | 坪4~6万円 程度 |
軟弱な地盤が深い場合に採用される工法ほど工事費が高くなる傾向にあることが分かります。
わが家の地盤改良工事は「表層改良工事」でしたが、63万8千円(税込)かかりました。
同じ工事でも、改良の範囲や改良剤の種類、残土の運搬距離など様々な条件により価格は上下しますので、あくまでも目安としてとらえておきましょう。
【体験談】わが家の地盤調査・地盤改良
わが家は田舎の工務店で家を建てました。
新築を建てた土地は元々酒屋の倉庫が建っていた場所であり、岩盤も露出しているような土地でした。
土地購入時は地盤改良はもちろん、地盤調査も不要だろうと勝手に思っていました。
しかし、工務店の社長から地盤調査は必要との話しがあり、住宅瑕疵担保責任保険の説明などはないまま、地盤調査を行うことに・・・。
調査方法は一般的なスクリューウエイト貫入試験でした。
雨の中を調査していたので、大丈夫かと心配していましたが、調べてみると地盤調査への雨影響は少ないようです。
無事半日程度で調査が終わり、調査から数日経ったある日、突然工務店の社長から「地盤改良工事が必要です」との連絡がきました。
その見積額、63万8千円(税込)。
納得ができていない状態でしたが、しぶしぶ改良工事を行うことになってしまいました。
【地盤調査と地盤改良】後悔しないための対策5選!
対策①地盤調査方法を確認
地盤調査を実施する前に、地盤調査方法について確認しておきましょう。
調査方法がスクリューウエイト貫入試験以外であった場合は、調査費用が高額になる可能性があります。
その他の調査方法
- ボーリング調査
- 表面波探査法
なぜその調査方法でないといけないのか、事業者へ確認するようにしましょう。
対策②地盤調査に立ち会う
地盤調査には可能な限り立ち会うようにしましょう。
スクリューウエイト貫入試験の場合、建物の四隅と中央の5測点を試験することが一般的です。
確認事項
- どこの場所を測定しているのか
- 測定結果について、直接聞いてみる
調査も半日ほどなので、最初の1時間程度立ち会ってみることがオススメです。
対策③調査報告書の提出と内容の説明
地盤調査後は必ず調査報告書を提出してもらいましょう。
地盤改良の必要性はこの報告書にまとめてありますが、様式は調査会社によって様々です。
中身は専門用語が多く、一般の方が見ても非常にわかりづらいので、工務店の方や調査会社に説明してもらうと理解しやすいでしょう。
地盤調査報告書の提出前に地盤改良を行わないように注意しましょう。
対策④地盤改良工法の選定について確認
地盤調査報告書により地盤改良の必要性について確認された場合は、地盤改良工事の工法について確認しましょう。
一般的な工法
- 表層改良工法
- 柱状改良工法
- 鋼管杭工法
工法の選定については、軟弱地盤の深さによって決まりますので、地盤調査報告書で報告されている内容(どこの深さの層までの地盤が軟弱なのか)と提案された工法の整合性が取れているか確認しましょう。
対策⑤見積書は一式でなく、詳細な単価を提示してもらう
見積書は「一式」でなく、詳細な単価を提示してもらうようにしましょう。
見積書は本来、全ての単価を1つ1つ積み上げ、最後に諸経費や消費税を合計して作成されます。
それらを省略し、「すべて含みます」という意味で使用されるのが「一式見積書」です。
「一式見積書」は業者からすると細々した手間がなく楽なのですが、見積りを受け取る側からすると、何にいくら必要なのか全く見えません。
リクシルのオンライン記事でも「一式見積書」について、注意するように紹介されています。
信用できない見積書とはどのようなものかといえば、「クロス張替一式」というように、詳細を記さずに「一式」とまとめてしまっている見積書です。こうした“一式見積書”しか提示してくれない業者は要注意です。
わが家の場合は一式の内訳を提示依頼したのですが、結局出してもらえませんでした。
まとめ:調査方法と改良工法について、正しく理解しておくことが重要
地盤.JPの実施したマイホームの地盤調査と地盤改良に関するアンケート結果によると、地盤調査や地盤改良について正しく理解できている方は過半数以下のようです。
地盤改良や地盤調査について検討する必要があるとご存じでしたか?
マイホームの地盤改良がどのような工法で実施されたか把握されていますか?
地盤調査や地盤改良について正しく理解しておくことで、適切な調査方法と改良工法を選定でき、大幅にコストを削減できる可能性もあります。
地盤調査や地盤改良で後悔したくない方はご紹介した対策法を是非実践してみてください。
後悔しないための対策
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